同じ球速、同じ曲がりのスライダーでも、投げ方によりタテに曲がるものと横に曲がる2種類があります。
タテに曲がるスライダーはカーブよりやや曲がりが小さく、沈むような感じのボールです。
一方、横に曲がるものは右投手であれば右打者のアウトコースにながれていくようなボール。
ストレートと同じ軌道で来て、文字通りボールが横にスライドします。
また、横に曲がるスライダーの中には、大きく曲がるものがあります。
このボールはより回転がかかっているので、通常のスライダーと異なり、バッターに向かっていくような軌道から曲がる、というイメージです。
あと、高速スライダーという表現もよく使われますが、ここでは定義がとても難しいです。
一応、球速的には135km以上のものを指すボールだということだと認識して頂けたらと思います。
横に曲がるスライダーは打者の目先を変えるのに有効なボールで、投げること自体はさほど難しくないのですが、非常にコントロールしにくいボールでもあります。
したがって、自由自在に操るのが難しいとも言えるのではないでしょうか?
基本の握り
タテのスライダー
支点となる親指を縫い目に掛け、人差し指、中指、薬指もそれぞれ縫い目に掛けるように握ります。
横のスライダー
中指だけ縫い目にかけます。
投げ方・リリース
親指を起点にするとタテ、中指で切ると横にスライド
タテのスライダー
腕の振りは真っすぐと同じです。リリースのとき、人差し指と中指に力を入れ(どちらかというと中指)、親指を起点にしてタテの回転を与えます。
縫い目に掛けて抑えるようにして(我慢するようにして)ドアノブをひねるようにして投げると、タテの回転が加わるのでボールが沈みます。
横のスライダー
腕の振りは真っすぐと同じです。リリースのときに中指1本で切ります。右打者のインコースをめがけて投げて、スライドしてストライクゾーンに入ってきます。
ボールの軌跡
タテのスライダー
真っすぐの軌道から、バットの芯を外すように小さく曲がりながら沈みます。軌道としては斜めです。
横のスライダー
右打者のインコースをめがけて投げると、スライドしてストライクゾーンに入ってきます。
どういう場面で有効か?
- 高速スライダーであれば、真っすぐとあまりスピードがかわらないので、真っすぐを狙いにきている打者に対して有効。
- 一般的なスライダーも打者の目先を変えることができるので、真っすぐを待っている打者には有効。
- 反対にスライダーを持っている打者に対し、あえて遅くて外寄りのスライダーを投げるのも有効。
左投手のスライダー
カーブが緩急とタテの変化によって打者を幻惑するボールであるのに対し、スライダーは横、もしくは斜めの変化によってバットの芯をズラすボールです。
スピードがカーブほどは落ちず、打者からはストレートのようにみえるので、手元での変化がより効果的になります。
左投手が右打者に投げる場合、カーブと同じようにヒザ元を狙うというのが基本です。
ストレートの速い投手なら、ストライクゾーンへ投げて空振りを取ることもできるし、スピードがなくても、ストライクからボールになるコースへ投げてファウルを打たせることができます。
また、右打者のアウトサイドでも有効に使えるのがスライダーの魅力です。
ボールゾーンからホームベースをかすめるようなコースに投げれば簡単にカウントを稼ぐことができます。
というのも、外から外に入ってくるボールというのはヒットになる可能性が低いので、初球、2球目あたりで手を出してくるバッターはほとんどいないからです。
右打者に対し、この外から外のスライダーを入り球として使ったりするととても有効です。
さらに、アウトサイドでストライクを取れるスライダーを持っていれば、打者にとって、左投手のスライダーが最も効果的です。
左打者にとって、左投手のスライダーは、ストライクゾーンでも非常に遠く感じるのと、打ち気にはやる打者ほど、完全にボールになるスライダーでも手を出してくるからです。
ただし、有効だからといって外側ばかりで勝負していると、そのうち目が慣れてきて、きれいに合わせられることもあります。
外に逃げるスライダーを有効に使うためにも、左打者に内側を意識させるシュートやスクリューなどの変化球を持つことも左投手には要求されます。