野球選手のみならずどんなスポーツの世界にも「イップス」というのは存在します。
もともとイップスの語源は、1930年前後に活躍したプロゴルファーのトミー・アーマーが、この症状によってトーナメントからの引退を余儀
なくされたことで知られるようになりました。
私も日ハム時代、打撃投手をしていたのですが「イップス」の症状が出てしまい、思うように投げられない日々が続いてしまいました。
プロの世界でも、イップスが降伏できずそのまま「引退」したしまった選手を知っています。
実際に見たのが、ヤクルトスワローズの2軍の試合(戸田球場)でちょうど猛暑の中でした。
先発した投手で、力強いフォームからリリースの時に、急に腕の振りが弱くなるのを見て不思議に思いました。
当時、名前は忘れてしまったのですが、
「アマチュア時代に150キロを投げてたのに、イップスになってもう使い物にならなくなったんだよ・・・」
って一緒にいた先輩から聞かされました。
スピードガンの表示は125キロがやっとで、練習で克服できないので実践で克服しなさいというコーチの趣旨で投げていたそうです。
あまりにも衝撃すぎていまでも忘れられません。
有名選手でイップスになった!といって話題になることがたまにありますが、裏では数多くの選手がスカウトの目に留まった素晴らしい才能を自ら殺してしてしまい活躍できずに引退する選手が後を絶ちません。
ではイップスとは、なんなのか原因と克服法を実体験に基づきお話ししたいと思います。
イップスの原因とは?
イップスの根底にあるのは、「メンタル」なのですが実は、大体のスポーツ選手はイップスを経験してることがほとんどだと思っています。
イップスを経験しているのですが、それをイップスだと認識せずにプレーをしているということになるかと思います。
それが過剰に反応してしまい、「運動障害」を引き起こしてしまって、なかなか治らないのが「イップス」として定義してるのだと思われます。
私の場合ですと、初めて発症したのが大学2年生の時でした。
2個上の先輩(4年生)とトスバッティングをしていたのですが、誤って先輩にぶつけてしまったのです。
もちろん先輩は、私をにらみつけて
「おい!しっかり投げろよ!」
と言われ、ビビってしまったのです。
ただ、その時は反省だけでその後は、普通に投げれました。
しかし、次に日になると昨日のぶつけてしまった残像が残っていて、うまくスナップスローができくなってしまったのです。
野球のスローイングの中で、引っ掛けるという言葉をよく使うのですが、それが何度も続いてしまいまともに投げられなくなってしまいました。
そこを修正しようと、今度は引っ掛けないように投げようとすると、回転のない抜けたボールになってしまうのです。
この現象は、いたるところに出てきてしまいトスバッティングだけでなく、ネットに向かって打つ「Tバッティング」のトス役にまで症状が出てしまい、こんな簡単なことすらできなくなってしまった自分が嫌になり、野球自体も嫌になってしまったのを鮮明に覚えています。
何日かした後、先輩は、私の悩みを感じたようで、気を使って「飯でも食いに行こう!」と誘ってもらいました。
ビールを飲みながら、たわいのない世間話から野球の話までしてくださって私に気を使って飯までおごってくれたのです。
自分一人で克服しようとしない
私は、これでとても救われました。
その後は、練習中でも気を使ってくれていたのだと思います。
冗談交じりで、よく話しかけてくれて場を和ましてくれていました。
その後は、イップスの症状はなくなり普通にプレーすることができたのです。
その先輩には、とても助けてもらい今でも近況を語っては、たまに飲みに行ったりしています。
今回の出来事で、自分もイップスっぽい選手仲間を見ると積極的に声をかけて、プレッシャーを消すように心掛けました。
ただ、「気にするなよ」という言葉だけだとなかなか、伝わりづらいので向こうが答えるように質問形式で、話しかけるようにするようにしました。
落ち込んでいる、相手にやんわり話しかけたり、切り替えるために次のプレーの打ち合わせなどをしたりします。
よくプロ野球の試合中に、ピンチの場面で監督コーチがマウンドにいって、切り替えさせるのはそのためです。
もちろん流れを一旦、止める行為もあるのですが選手にケツを叩いて叱咤激励をするのがコーチなどの役目です。
こういった、人に対する思いやりがチームプレイには必要で、強いチームほど結束力が強いのです。
自分一人で解決する方法
上記でお話したのは、第三者がいての解決法ですので、自分だけの解決方法もお話したいと思います。
イップスは、冒頭でお話ししたように精神面から来るストレスの運動障害です。
技術面でカバーすることはできません。
ただ猛練習して「俺はこれだけ練習したんだ!治るに決まってる!」
というのもありますが、これも根底には「メンタル」の部類になります。
実はこれで解決する選手が多いです。
ゆるぎない自分自身の「自己満」なので効果はかなり高いのです。
例えば、高校野球の例に例えると強豪チームは、どのチームにも負けない練習を積んできます。
これは、プレッシャーの中でかなり強い力を発揮します。
これが甲子園でのミラクルを起こす原動力となったりするのです。
負けたりミスをしたら悔いは残りますが、これだけやったんだからと前向きに次に進むことができるのです。
前向きな行動力が悩みを解決してくれる。
そういうことなんだと思っています。
自分をふさぎ込んではいけない
もう一点、解決方法があります。
それは、プレー(野球)から一度離れることです。
自分の趣味に没頭するのも良いですし、好きな人とデートに誘うのも良いでしょう。
とにかく、悩みに深く入り込まず一層のこと忘れてしまった方が効果が出ることがあります。
でも練習からは逃げられないよ!という人は、積極的にチームメイトや友達、親兄弟とたわいもない話を積極的にすることです。
ナーバスになってふさぎ込みやすい傾向になるので効果的です。
イップスを発症しやすい人の特徴として、責任感が強く、心の優しい完璧主義の人がかかりやすいです。
何事もプラス思考で無責任の人が、イップスになることは非常に珍しいことなので、こういった良い所を真似するのも効果的です。
まとめ
こういった改善策の真相は、以前のような無意識にプレーができるように治すのが目的です。
もちろん技術面でイップスを発症してしまうケースもありますので、すべてが一概には言えませんがこういった前向きな、悩みを持つことが大事です。
自分は、「悩んでいいんだ」と悩みを肯定してみるのもいいですね。
日ハム時代のチームメイトで、江尻選手と仲が良かったのですが、彼はコーチの指導でとても悩んでいた時期がありました。
でもある時、その悩みを肯定することにしたそうです。
「悩むことは素晴らしい!」「悩んでいいんだ!」
と悩み自体を肯定して、前向きな気持ちに切り替えてからとんとん拍子に成績が上がったそうです。
ソフトバンクホークスやDeNAベイスターズに移籍しても中継ぎとして、活躍しました。
もし、イップスを発症して悩んでいる選手がいましたら、どうぞこの記事に書かれたことを実践してみてください。
もし、周りにイップスで悩んでいる選手を見つけたら積極的に話しかけて、一緒に飯にでも行ってたわいもない話で笑わせてやりましょう!
もし、それが無理なら独り言のように自分にブツブツと話しかけたりしてみましょう。
元巨人の桑田投手もマウンドでボールに話しかけたりと自分との対話を大事にしていました。
周りからは、大丈夫か?コイツ?と思われても落ち込んで下を向いてばかりいるよりかは、全然ましです。
どうぞこの記事が、一人でもイップスで悩んでいる方に伝わればこの上ない喜びです。